パイロット免許の取得をお考えの方にとって最も悩ましいことの一つに「どの飛行学校を選べば
いいのか」という問題があります。
その問題に対してカナダ運輸省では”飛行学校の選び方(How to Select a Flying School)”という
アドバイスをウェブサイトに載せています。

How to Select a Flying School  (Transport Canada)
http://www.tc.gc.ca/eng/civilaviation/opssvs/general-flttrain-selectftu-selection-2334.htm

以下私の考えと他のトピックスも交えながらこれを簡単にご紹介します。

ステップ1 目標を決める

何の目的でパイロット免許を取得したいのかを明確に決めることは重要です。

将来的にエアラインでパイロットとして働きたいのか(日本もしくは海外または両方を視野に入れ
たいのか)、それとも自身のレクリエーションのために免許が必要なのか、ということです。

もちろんまずは自家用操縦士免許からという答えでもいいと思いますし、エアラインではなくて
飛行教官になりたいというのでも問題ありません。
もちろん途中で目標を変えても差し支えありませんが、事業用操縦士免許を取得したくなったのに
その学校では自家用操縦士までのコースしか提供されていないということもあります。
それでしたらより多くのコースを提供している学校のほうがいいかと思います。

ステップ2 飛行学校のタイプを考える

飛行学校と一口に言っても千差万別です。

飛行教官一人の個人指導塾的な学校、ローカルな飛行場でこぢんまりした学校、地域に根ざした
フライングクラブ、事業用操縦士や計器飛行証明まで取得できる学校、エアラインとコネクション
のある学校、大学と提携し学位取得も含まれる学校… 実にいろいろあります。

ご注意頂きたいのは「エアラインとコネクションのある学校」です。
これはアメリカにもヨーロッパにも存在します。
よく「(エアラインとの)面接を保証」とか見ますが、実際にはその国の国籍保有者や合法に働くこと
のできる者(永住権保有など)が前提条件となっています。
よって日本国籍のみ保有されている方には最初から無理ということになります。
もちろん彼らが労働ビザ申請の手助けをしてくれることはありませんし、外国政府もミニマムタイム
の経験のないパイロットに対して労働ビザを発給することはないと断言しておきます。

ステップ3 飛行学校のリストを作成する

飛行学校のウェブサイトなどで少なくとも以下をお調べ頂くことをおすすめします。

・コースやカリキュラム
・学校の理念、目標と目的が自身の考えに一致もしくは近いか
・住む場所(寮など)が確保されているか
・多発限定や計器飛行証明、経験を広げる曲芸飛行(アエロバティック)の訓練は可能か
・学校の運営年数、また正規の飛行学校の許可を受けているか
・卒業生の数、また卒業生の就職状況
・学校施設や訓練機はどのようなものか
・どのような空港で訓練を行っているか
 (空港の規模、定期便数、ATC、滑走路数、空中操作訓練空域までの距離 など)

ステップ4 学校見学

可能であればやはり事前に学校見学をし、不明なことは直接質問をして解決することが最良です。

(天気が飛行条件を満たさないときを除いて)そこには実際に訓練生がいて、教官もいます。
もし訓練生が何かしら不満を持っているとすれば、顔に現れているかもしれませんし、その学校に
ついて尋ねれば、問題点やもしくは満足している、最高だ、など、彼らは教えてくれるでしょう。

また訓練機の稼働状況やメンテナンス状況、予約状況を知ることも重要です。
もし数少ない訓練機に多数の訓練生を学校が抱えていたら…それは予約が取れずに訓練がスムースに
進まないという事態にもつながります。

体験飛行をすることも実際の訓練がどのようにおこなわれているか知る最良の方法です。

ステップ5 コストを計算する

いかに海外の飛行学校が日本国内の学校と比較して安価だといっても、飛行訓練は一般的には多額の
費用を要します。

座学でいえば、例えば座学の費用には教科書代が含まれているかどうか。
※当校では含まれています

また飛行訓練では飛行訓練前後に必ずブリーフィング、つまり飛行前であればその日に行う飛行訓練
内容の確認、天気や飛行機の状況の確認、飛行後であれば訓練内容の総括(反省点、改善方法などの
話し合い)が行われますが、その費用は別途チャージされるのかどうか。
※当校では飛行訓練費に含まれています

飛行訓練時の飛行時間の換算方法はどうか。
一般的にはエンジン始動~エンジン停止ですが、実際にはエンジン始動からタキシング(地上滑走)
までにチェックすることも多く、特に訓練初期には時間を要します。
※当校ではタキシング許可~エンジン停止が飛行時間カウントとなっています。

悪質な学校の場合、エンジンを始動した後に訓練機内で飛行前のブリーフィングを行う飛行教官が
いるところもあるようです。

また訓練費は一括で前払いする必要があるのか、それとも逐一の支払いでも可能かどうか。
ブロックタイム、これはある程度の時間数(例えば10飛行時間分)を前払いすれば若干の割引がある
という制度ですが、これがあるのかどうか。

また訓練中断時の返金ポリシーはどうかなどもご確認頂くことをおすすめします。

ステップ6 選択する

以上の情報を基にぜひご自身にフィットする最良の飛行学校をお選びください。

インターネット上の情報 (評判・噂話・経験談・アドバイス・悪評など)

飛行学校選びにはインターネット上の掲示板、例えば有名なパイロット向けの掲示板としてPPRuNe
Forums (http://www.pprune.org/) などの情報も参考になります。

日本人向けの飛行学校については日本語で評判を検索されてもいいと思います。

個人的にはPPRuNeの情報にはある程度信頼を置いていますが、日本の2chとかですとあくまでも
参考程度といったところにしています。

とある日本人の方の経験談

昨年末(2014年12月31日付)に興味深い記事がインターネット上に配信されていました。

これはとある日本人の方が訓練費を安くしようと「自家用操縦士免許を2~3ヶ月、40万円で取得
できる」というフィリピンの飛行学校に通われた体験談です。

操縦訓練許可までに3ヶ月、更に多発する訓練機の墜落事故、訓練機の予約がなかなか取れずに
毎日乗りたいなら2倍払えという学校、行政当局(民間航空局)や学校職員の怠慢、更には4年かけて
も事業用操縦士免許を取得できない友人、ボロボロの訓練機、学校の閉鎖(解体)、など。
とても同じ業界とは思えないほどお粗末な飛行学校について書かれています。

【エアアジア機・関連】LCCでパイロット不足・問題山積の養成学校も(Global News Asia)
 http://www.globalnewsasia.com/article.php?id=1362